貸借取引、信用取引の仕組み

信用取引とは

信用取引とはイメージ図

信用取引は、投資家が証券会社から資金や株式を借りて行う売買取引です。
投資家は、証券会社に一定の保証金(委託保証金(注))を担保として差し入れ、証券会社から株式の購入資金や売付け株式を借り入れて株式を売買します。
また、信用買いの場合は買付株式が、信用売りの場合は売付代金がそれぞれ証券会社に対する担保として充当されます。
この信用取引で手持ち資金を上回る金額の銘柄を買ったり、保有していない株式を売ったりできることにより、売買取引に厚みを持たせ、株式の円滑な流通や適正な価格形成に寄与しています。

(注)

委託保証金
信用買いした銘柄が値下がりしたり、信用売りした銘柄が値上がりしたりすると損失が発生します。そうした場合、証券会社に担保として預けた買付株式や売付代金では担保価値が不足します。そのため、信用取引ではあらかじめ一定の保証金(委託保証金)も担保として差し入れる必要があります。

信用取引における買い、売りの利用方法

例えば株価が短期間に騰落すると判断した場合、信用取引では次のような取引が利用できます。

  • 株価が値上がりすると判断した場合には、証券会社から買付資金を借りて株式を買い(信用買い)、その後信用取引の返済期限内(制度信用取引については6か月以内)で予想どおり値上がりしたときに株式を売って(反対売買)借入金を返済し、差額を授受します。また別途資金を調達し、これを証券会社に差し入れて株式を引き取る(現引き)こともできます。
  • 逆に、株価が値下がりすると判断した場合には、証券会社から株式を借りて売り(信用売り)、返済期限内で値下がりしたときに株式を買い戻して(反対売買)株式を証券会社へ返済し、その差額を授受します。この場合も別途株式を調達し、これを証券会社へ渡して当初の代金を受け取る(現渡し)こともできます。
信用取引における買い、売りの利用方法イメージ図

また上記のような値ざや稼得目的以外にも、ヘッジ目的で信用取引を利用することが出来ます。保有する株式の株価が下落すると判断したが何らかの理由(例えば転換社債型新株予約権付社債の転換請求期間中や公募株式購入直後等)で売却できない場合なども、同一銘柄を信用売りすること(つなぎ売り)で損失を回避することができます。

信用取引の種類(制度信用取引と一般信用取引)

信用取引には制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。
投資家は、信用取引で売買の委託注文する際に、どちらで取引を行うかを選択します。

信用取引の表

制度信用取引は、対象銘柄や返済期限等が証券取引所等により定められております。
制度信用取引において、証券会社で必要な資金または株式が不足している場合、証券会社は売買の決済に必要な売付株式及び買付代金を証券金融会社から借り入れることができます。
これを貸借取引といいます。

一方、一般信用取引は、取引条件を顧客と証券会社との間で自由に定めることができますが、一般信用取引の決済のために証券会社が貸借取引を利用することはできません。

貸借取引とは

貸借取引とはイメージ図

貸借取引は、証券金融会社が証券会社に対して制度信用取引に必要な資金や株式を貸付する取引です。
証券金融会社は、証券取引所の取引参加者である証券会社から一定の保証金(貸借担保金)を直接受け入れたうえで、資金や株式を証券取引所等の決済機構を通じて貸し付けます。

貸借取引は、金融商品取引法に基づき、内閣総理大臣の免許を受けた証券金融会社にのみ認められた業務で、当社は各証券取引所市場(東京、名古屋、福岡、札幌)および私設取引システム(PTS)の指定証券金融会社として、貸借取引業務を行っています。

制度信用・貸借取引の全体像

制度信用取引と貸借取引の流れ

制度信用取引と貸借取引の流れは次のようになります。

<制度信用取引(投資家⇔証券会社)>・・・取引所の定めた銘柄・返済期限に応じた信用取引

  1. 投資家は、証券会社に委託保証金(有価証券で代用可能)を差し入れたうえで、制度信用取引の注文(買いまたは売り)を行う。
  2. 証券会社は、制度信用取引にかかる売買注文を証券取引所で執行し、委託保証金を受領する。

<貸借取引(証券会社⇔証券金融会社>・・・制度信用取引の決済に必要な資金・株式の借入

  1. 証券会社は、証券金融会社に貸借取引の申込みを行い、貸借担保金を差し入れる。
  2. 証券金融会社は、証券会社に代わって、買付資金または売付株券を決済機構に引き渡すと同時に、決済機構から買付株券または売付代金を受領し、証券会社から受領した貸借担保金とともに貸借取引の担保として保有する。

普通の金銭/株式の貸付であれば、証券金融会社は証券会社に貸付資金/株式を引き渡して、証券が投資家に貸付資金/株式を引き渡す流れとなりますが、投資家は同額の買付代金/売却株式を同日に証券に引き渡す必要があり、また証券はそれを決済機構に引き渡す必要があります。
制度信用・貸借取引では、これらの決済の流れを相殺、省略して、証券金融会社から決済機構への資金/株式の流れのみで完結させる効率的な仕組みとなっています。

申込から受渡まで

申込から受渡までイメージ図

貸借取引において、買付資金および売付株式の貸付は申込日(T日)から起算して3営業日目(T+2日)におこなわれます。

  • T日(申込日)
    投資家が制度信用取引で売買約定。証券会社は、約定を集計し16時~18時半に証券金融会社に貸借申込。証券金融会社は、18時30分過ぎに速報残高を発表。
  • T+1日(申込日の翌営業日)
    証券金融会社にて、T日の申込分に掛かる融資追加申込みを受付け、品貸入札の実施。10時30分過ぎにT日分の品貸料率、11時30分を目途にT日分の確報残高をそれぞれ発表。
  • T+2日(決済日)
    証券金融会社と決済機構との間で資金と株式の受渡を実行。

信用取引(東京証券取引所ホームページ)

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