貸借取引の利用制限措置等について
貸借取引の利用制限措置について
貸借取引の利用制限措置の概要
貸借取引において、証券金融会社は、証券会社に対して、申込みのあった資金または株式の貸付けを行いますが、貸付けのできる株式の数量にはどうしても限りがあります。このため、特定の銘柄について貸株の利用が異常に増加し、またはそのおそれがある場合、買い集めや公開買付け等の要因により、特定の銘柄につき株式の調達が困難となるおそれがある場合、その他貸借取引の公正、円滑な運営が著しく阻害されるおそれがある場合には、貸株超過が発生しているかに問わず、その状況に応じて貸株利用等に関する注意喚起通知や貸借取引申込みの制限または停止(これらを総称して「制限措置等」といいます。)を行います。
貸借取引の貸株利用等に関する注意喚起通知
証券金融会社は、制限措置等が予告なく実施され、また、投資家が証券会社による制度信用取引の利用制限措置等を予見する余地のないままこれに従わざるを得なくなる事態をできる限り避けるため、一定の基準(注1)を設け、これに該当した銘柄については、将来、制限措置等が実施される可能性がある銘柄として、証券会社および投資家に対し通知、公表し、貸株利用等に関する注意を促しております。この措置を注意喚起通知といいます。
注1
注意喚起通知基準
証券金融会社の定める注意喚起通知基準は次のとおりです。
(1) 残高基準
次のイ~ハの残高基準のうち2以上の基準に該当した銘柄について注意喚起通知を行います。ただし、株式の調達が困難となるおそれのない銘柄については、1売買単位当りの投資金額が著しく小さい銘柄または売買高が急増している銘柄で制度信用売残高が急増するおそれがあると認められる銘柄を除き、注意喚起通知の実施を猶予します。
(2) 特性基準
買い集めや公開買付けにより流動性が著しく低下するおそれがある銘柄、急激な株価の変動または売買高の増加により貸借取引の利用が急増するおそれがある銘柄、株式分割等にかかる基準日や決算期末等を控え借株が制約される銘柄など、個別の理由により株式の調達が困難となるおそれのある銘柄については、上記(1)の残高基準にかかわらず注意喚起通知を行います。
貸借取引申込みの制限または停止
- 注意喚起通知を行ったにもかかわらず、その要因となった状況等が改善せずにさらに悪化した場合には、やむを得ず、証券会社に対して貸借取引の貸株申込みおよび融資返済申込みの制限または停止(制限措置等)を行います。ただし、状況によっては、注意喚起通知を行わずに制限措置等を行うことがあります。
- 制限措置等は、当該銘柄が上場するまたは取扱いのある全ての市場において実施されます。
- 制限措置等が行われた銘柄につきましては、証券会社は、当該証券会社内における制度信用取引の取組み等の状況にもよりますが、投資家の制度信用取引の利用(新規売り、現引き、立会外市場における転売、全市場における転売)の一部または全部を制限または停止する場合があります。
- 制限措置等は、通常の場合、次のイ、ロに伴う申込みの一部または全部を対象とします。ただし、個別銘柄の状況に応じて、ハまたはニに伴う申込みの一部または全部を対象とする場合もあります。
イ・・・制度信用取引の新規売り
ロ・・・制度信用取引買い方の現引き
ハ・・・制度信用取引買い方の転売(立会外市場のみ、PTSは除く。)
ニ・・・制度信用取引買い方の転売(全市場)
そのため、イ、ロに伴う貸株申込みおよび融資返済申込みの停止が行われた銘柄においては、ハやニに伴う貸株申込みは停止されていないことによって貸株残高が増加することがあります。
図の通り、証券会社は、自社内で制度信用取引買い残高と売り残高を社内対当させたうえで、不足する資金や株式のうち自社で調達できない部分について、買い残高に相当する残高を融資申込みとして、売り残高に相当する部分を貸株申込みとして証券金融会社に申込みを行います。このため、仮に信用取引において新規売りが全く行われていない銘柄についても、既存の買い建玉が転売されることなどがあれば、社内対当の結果、貸借取引の新規貸株申込みが行われることがあり得ます。
貸株残高株数や貸株超過株数の増減は、必ずしも信用取引の新規の買付けや売付けと一致するわけではなく、証券会社内での調達の結果によるものとなります。
注意喚起の取消・制限措置等の解除等
証券金融会社は、注意喚起または制限措置等を実施する要因となった状況等が改善された場合には、その状況に応じて注意喚起通知を取消しまたは制限措置等を解除もしくは変更します。
貸借取引の制限措置等の公表
注意喚起通知および制限措置等を実施する場合ならびにこれらの措置等を解除または変更する場合は、その内容を証券会社や報道機関等に通知し、かつ本サイトにて公表します。なお、通常は16時30分頃に公表しておりますが、1日を通してそれ以外の時間に公表する場合もあります。
また、注意喚起または制限措置等が実施された場合には、証券取引所およびPTSではその制度信用取引残高が原則として日々公表されます。
なお、個別の銘柄についての実施理由、実施期間等につきましては公表しておらずお答えすることができませんので、ご留意ください。
返済請求措置について
貸借取引における申込停止措置および品貸料(逆日歩)の最高料率を10倍とする臨時措置(※)を実施してもなお、貸付株式の調達が極めて困難な状況が生じるなど、貸借取引の円滑な運営が著しく阻害されるおそれがある場合には、証券金融会社は、貸借取引貸出規程第4条に基づき、貸借取引残高の返済を請求することがあります。
※詳細は「最高料率」をご覧ください。
(参考:貸借取引貸出規程第4条)
当社は、つぎの各号に掲げる場合においては、一部もしくは全部の貸借取引参加者、第7条に規定する取引区分の一部もしくは全部、または一部もしくは全部の銘柄について、増担保金の徴収、貸付けの制限もしくは停止、または貸し付けている金銭もしくは株券等の返済の請求を行うことができる。
- 貸借取引参加者の金銭または株券等の借入額がその資力または営業状況に照らして過当となるおそれがあり、または過当であると認められるとき
- 特定の銘柄について貸借取引の量が異常に増加し、または増加するおそれがあるとき
- 買占めその他の原因により、特定の銘柄について株券等を調達することが不可能な状態となるおそれがあるとき
- 経済情勢の激変その他の事情により、有価証券の相場が暴騰もしくは暴落し、またはそのおそれがあるとき
- 前各号のほか、貸借取引の公正、円滑な運営が著しく阻害されるおそれがある場合において、これを防止するため必要と認めるとき
証券会社および投資家の皆様に
証券金融会社では、制度信用取引に必要な株式の供給を円滑に行うことができるよう、常時、生命保険会社・損害保険会社・銀行その他株式保有者からの借株(株式調達)の拡充に努めております。
しかしながら、何分にも株式には量的に限りがございますので、特定の銘柄に大量の買い集めや急激かつ大量の信用売りが行われた場合等には、前述のとおり、やむを得ず、制限措置等を実施することがございます。
証券金融会社といたしましては、制限措置等を行うことは可能な限り回避すべきであると考えており、今後とも株式の調達には最大限の努力を尽くしてまいる所存でありますが、皆様の貸株利用のニーズにお応えすることができない場合がありますことを、ご理解いただきたくお願い申し上げます。
信用取引の規制措置と当社の対応
証券取引所等は、株価が急騰した場合や、売買高、信用取引残高が急増した場合などに、株式市況の過熱を調節するために、信用取引の規制措置(個別銘柄規制及び全面規制)を実施することがあります。
当社でも、貸借取引の公正、円滑な運営を図る目的から、信用取引について規制が実施された場合は、同一内容の措置を実施します。
ご参考
日本証券業協会「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」(自主規制規則)
第12条抜粋
(第2項)
協会員は、金融商品取引所、認可会員(「上場株券等の取引所金融商品市場外での売買等に関する規則」第2条第5号に規定する認可会員をいう。以下同じ。)又は証券金融会社により次の各号に掲げる措置が採られている銘柄については、信用取引の勧誘を自粛するものとする。
金融商品取引所又は認可会員が信用取引の制限又は禁止措置を行っている銘柄
証券金融会社が貸株利用等の申込制限又は申込停止措置を行っている銘柄
(第3項)
協会員は、前項各号に掲げる銘柄及び金融商品取引所、認可会員又は証券金融会社により次の各号に掲げる措置が採られている銘柄については、顧客から信用取引を受託する場合において、当該顧客に対し、これらの措置が行われている旨及びその内容を説明しなければならない。
金融商品取引所又は認可会員が信用取引に係る委託保証金の率の引上げ(委託保証金の有価証券をもってする代用の制限等を含む。)措置を行っている銘柄
証券金融会社が貸株利用等に関する注意喚起通知を行った銘柄
ご注意
上記は、証券金融会社が金融商品取引業者との間で行う貸借取引の貸株利用等に関する諸措置の概要を取りまとめたものです。金融商品取引業者が投資者の皆様との間で行う制度信用取引の利用制限措置等につきましては、お取引先金融商品取引業者にお問合せくださいますようお願いいたします。