品貸入札、逆日歩、最高料率、応札ランク

貸株超過の場合の取扱い

証券会社は、制度信用取引の売買に伴う投資家への貸付資金および貸付株式の調達に関し社内対当させることができ、必要に応じて貸借取引を利用することができます。
証券金融会社は、証券会社から受け付けた貸借申込を証券会社と同様、社内対当させた上で、貸株残高が融資残高を上回った(貸株超過)場合、別途貸付株式を調達する必要が生じます。申込日の翌営業日に、不足株数を調達することとなりますが、まず、証券会社から貸借申込の追加申込み翌朝訂正)により融資の追加申込を受け付け、貸株の超過部分を埋めるようにします。翌朝訂正と並行して、証券会社や機関投資家等から入札(品貸入札)によって不足株式を調達します。品貸入札により、品貸料が決定しその料率は、制度信用取引にも適用され、すべての売り方がすべての買い方あるいは品貸落札先に支払うこととなります。

なお、東証市場およびPTSについては、各市場の貸株残高および融資残高を合算し、合算後の貸株超過の範囲で品貸入札を行います。そのため、決定した品貸料率(逆日歩)はどの市場の残高であろうと同率が適用され、また、PTSで貸借銘柄ではなく貸借融資銘柄であったとしても、当該PTSにおける買い方は決定した品貸料を受け取ります。

詳細は貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱いをご覧ください。
貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱い

品貸料の決定方法と品貸料率(逆日歩)

証券金融会社は貸借取引申込みにより貸株超過となる銘柄の株式を、貸借取引申込日の翌営業日に品貸入札により調達します。品貸入札では料率の低い申込みから、また、同料率の場合は申込み時間が早いものから優先して採用し、調達必要株数に達した申込みに付された料率を品貸料として決定します。証券金融会社はこの品貸料に品貸日数を乗じたものを品貸料率(逆日歩)として発表します(※3)。

品貸料率(逆日歩)= 品貸料 × 品貸日数

なお、貸借取引申込日の翌営業日の追加申込みにより貸株超過の状態が解消した場合には「*****」と表示し、当該申込日(約定日)における品貸料率(逆日歩)は発生しません(満額)。一方、0銭の品貸し申込みにより必要株数を調達できた場合には品貸料率(逆日歩)を「0.00」と表示します(0銭品貸し)。これらは、主として自己融資をしている証券会社に見られる対応で、制度信用取引においては、証券会社は信用取引の買い方に支払う品貸料を、貸借取引および売り方から受け取る品貸料を充当しますが、貸借取引を利用せず自己融資をしている場合には、貸借取引で受け取る品貸料がありませんので、証券会社の負担で買い方顧客に対して品貸料を支払わなければなりません。そこで、証券会社はこの負担を回避するために、自己融資をしている銘柄が貸株超過となった場合には、自己融資から貸借取引へ切り替えるために融資の追加申込をおこなうか、自己融資の担保として受入れ保有している買付株式を0銭で品貸しすることになります。
上記のとおり、品貸料率は毎日行われている品貸入札によって決定しております。したがって、入札参加者の動向や銘柄の需給関係等によっては貸株超過株数の増減と品貸料率の動きが一致しない場合もあります。例えば、上場企業の株式を保有して権利確定日を迎えれば、株主議決権を得ることとなりますが、品貸入札で採用された場合、名義が落ちることとなり、株主議決権を得ることはできません。したがって、一般的には決算期が接近した場合などは名義を確保したいと考える入札参加者は入札を見合わせることが多く、結果的に品貸料率も上昇する傾向にあります。

(※3) こちらのページをご参照ください。

取引の流れイメージ図

品貸日数の計算方法

品貸入札により不足株式を調達することとなった銘柄については、貸借取引申込日(約定日)から起算して3営業日目(品貸入札日から起算して2営業日目)に品貸入札の申込み採用先から株式を借り入れることとなります。通常、借り入れた株式の借株先への返済期日は借入日の翌日となりますので、この場合の品貸日数(株式の借入日数)は1日となります。一方、借入日の翌日が休日の場合は、借株先への株式の返済日が繰り延べられることとなり、品貸日数は繰り延べ日数に応じて増えることとなります(品貸料率は繰り延べ日数分を乗じて表示しております)。

品貸日数が3日となる例

品貸日数が3日となるイメージ図

最高料率

品貸料は品貸入札を通じて決定しています。 品貸入札では申込みを受け付ける料率に上限を設けており、この上限となる料率を最高料率といいます。最高料率は、貸借値段(貸借取引で使用する価格で、原則として取引所における普通取引の最終値段)に売買単位を乗じた投資単位に応じてあらかじめ定められています。

最高料率早見表(株式)

最高料率早見表(ETF等)

※株式とETF等では最高料率が異なります

下記の通り、注意喚起や申込停止措置等を行った銘柄および決算期等の基準日の一定期間前にある銘柄等については、最高料率を通常の最高料率から引き上げる倍率適用が実施されます。
また、こうした倍率適用の条件に合致しない銘柄であっても、異常な貸株超過状態が生じている銘柄またはその恐れがある銘柄等については、別途、本来の最高料率を4倍または10倍の倍率を適用する臨時措置を講じる場合があります。

適用条件 倍率 適用期間
(1)配当、新株引受権等の権利付銘柄 2倍 権利落日6営業日前から権利落日2営業日前まで
(2)配当、新株引受権等の権利付銘柄 4倍 権利落日の前営業日
(3)注意喚起通知銘柄 2倍 通知日の翌営業日から取消日の前営業日まで
(4)申込制限措置銘柄、申込停止措置銘柄 2倍 実施日から解除日の前営業日まで
(1)に該当しかつ(3)または(4)に該当する銘柄 4倍 権利落日6営業日前から権利落日2営業日前まで
(2)に該当しかつ(3)または(4)に該当する銘柄 8倍 権利落日の前営業日
異常な貸株超過状態が生じている銘柄、またはそのおそれがある銘柄 4倍 当社が指定する日から解除日の前営業日まで
極めて異常な貸株超過状態が生じている銘柄、またはそのおそれがある銘柄
貸付株券の調達が困難となり受渡決済に支障が生じるおそれがあると認められる銘柄
10倍 当社が指定する日から解除日の前営業日まで

なお、倍率適用はあくまで「品貸料の上限に対して倍率適用されるのみ」となることに注意が必要です。例えば、倍率適用が「2倍」が付されている銘柄において、最高料率が1.0円から2.0円になっている状態で、1株あたり5銭で日証金が株式を調達できた場合、品貸料はそのまま「5銭」となり、「10銭」になるわけではありません。

詳細は貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱いをご覧ください。
貸借取引貸株超過銘柄等に対する取扱い

最高料率の事例

最低料率引き上げにかかる特別措置

借取引における申込停止措置および品貸料の最高料率を10倍とする臨時措置を実施してもなお、貸付株券の調達が極めて困難な状況が生じるなど、貸借取引の円滑な運営が著しく阻害されるおそれがある場合には、品貸料の最低料率を当該銘柄の通常時の最高料率として算出される品貸料に引き上げる特別措置を講じる場合があります。

例)貸借値段3,000円、売買単位100株の株式における品貸料率範囲

最低料率 最高料率
① 通常時 0.00円 6.00円
② 制限措置実施時 0.05円 12.00円
通常時(①)の2倍
③ 最高料率の引き上げにかかる 臨時措置実施時
a. 4倍
0.05円 24.00円
通常時(①)の4倍
b. 10倍 60.00円
通常時(①)の10倍
最低料率の引き上げにかかる 特別措置実施時 6.00円
通常時(①)の最高料率
60.00円
臨時措置適用後(③.b)の最高料率

応札ランクの概要

「応札ランク」は品貸入札の株式調達状況を可視化することにより、応札株数の増減の状況を踏まえて、投資家の皆様が自己の信用取引のポジションを適切にコントロールすること等を期待する目的で、2024年11月より公表を開始しております。
具体的には、品貸申込結果における応札倍率(品貸入札合計株数÷貸株超過株数)をランク別に表示することであり、証券金融会社における各銘柄の足元の株式調達状況の逼迫度合いを表わす1つの指標となります。各ランクの応札倍率の範囲は以下の通りとなります。

ランク 応札倍率の範囲
A 1.0以上~1.2未満
B 1.2以上~1.7未満
C 1.7以上~2.5未満
D 2.5以上~4.0未満
E 4.0以上~6.0未満
F 6.0以上

一般的には、応札ランクがAに近付くほど、証券金融会社の株券調達が逼迫している状況となりますので、品貸料率高騰のおそれがございます。ただし、品貸料率は入札方式で決定いたしますので、株券調達状況の逼迫度合いと相関しない場合もございます。
応札ランク情報の更新は、貸借取引申込日(約定日)の翌営業日に行われる品貸入札の終了後となります。午前10時40分を目安に更新いたしますが、品貸申込みの受付時限が延長された場合はこの限りではありません。

応札ランクの例

応札ランクの例
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